a box of chocolates

You never know what you're gonna get.

The LARK

夜、なにげにテレビをつけたらヨルタモリを放送していた。ゲストは福山雅治さん。宮沢りえはお休みのようで、いつものりえポジションにタモさんがいた。
福山さんはギターを抱えて、銭形平次のテーマが昔から好きなんですよと言って弾き語りをしはじめた。福山さんの甘い歌声に身体を揺らすゲストたち。
歌い終えるとまたトーク。じゃあみんなでセッションをしましょうよと、コーヒールンバのセッションが始まる。飲み屋のカウンターに座りながら演奏するみなさんは一様に楽しそう。テレビを見ながらにして、自分もそのお店にいて演奏を聞いてるような錯覚を覚えるくらいゆるい雰囲気。いい感じで演奏が決まって、思わず拍手。
番組を頭から見ていなかったけど、前振りとしてLARKってバンド名が出ていたっぽくて、同じくゲストのリリー・フランキーさんが「このメンバーがバンドメンバーで、LARKってバンドのテーマソングを弾いてみましょうよ」とネタを振ってくる。
タモさんがそれに乗って、ライブのMCという体で話を始める。
途中、10年ほど活動停止期間があった、25年目のバンド「The LARK」。
福山さんがブルージーな雰囲気でコードを弾き、タモさんが歌詞をのせる。
思いがけないかっこいい名曲。

これ、福山さんやリリー・フランキーさんのファンの人はたまらん番組だろうなぁと思った。

普通の音楽番組は、アーティストの「表現」の場であり、売るべき曲の「プロモーション」の場であるとすると、この番組は音を「楽しむ」場だなと思った。
アーティスト自身が音を楽しんでいる姿を見る機会って、案外、少ない。

記憶がおぼろげだが、今から20年ほど前、確かお正月の音楽番組だった気がするが、山田邦子さん司会で色々なアーティストとトークしつつ、楽曲を演奏してもらうという番組があった。
そこに、僕が好きなB'zが登場した。知っている人は知っているが、B'zはプロモーション戦略からか、出演するメディアを慎重に選ぶタイプのアーティストで、トーク主体の音楽番組に出演するというのはかなり珍しいことだった。
他愛のない話題で番組は進行したが、途中で山田邦子さんと稲葉さんが松本さんの演奏で「別れても好きな人」をデュエットする流れになった。
ちょっとはにかみながらもかっこよく歌い上げる稲葉さん。
古い曲だったけれど、それを見ていた当時中学生くらいの僕は、震えるくらいかっこいいと思ったのだった。
続いて、松本さんと稲葉さんでThe BeatlesのDon't Let Me Downを演奏する(順番は逆だったかもしれない)。
これもしびれた。
このときの演奏が印象に強烈に残っているので、僕の中でThe Beatlesの曲といえばDon't Let Me Downということになった。
今でもなっている。

単体の音楽を売っていくだけじゃなくて、音楽そのものを好きという人を増やしていくためには、テレビという大きなメディアでこそこういうゆるい雰囲気の番組をどんどんやっていくのがいいんじゃないかなと思った。

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photo by Koshyk