比喩表現としての「泣いた」ではなくて、本当に涙をぽろぽろこぼしながら読みました。
Kindleで3巻まで一気読みして、良さのあまり、もう一度1巻から読み直して、同じところで泣いて、単行本の4巻のKindle化が我慢しきれずに翌日書店で購入してしまいました。こういう気持ちになったのは久しぶり。
- 作者: 石塚真一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/12/04
- メディア: Kindle版
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「世界一のジャズプレイヤーになる」という硬い意思をもつ主人公の大(だい)が、それを実現するためにひたすら努力していくというストーリー。震災後の仙台が序盤の舞台になっていて、ジャズを知らなかった大が友人に誘われたライブでジャズと出会い、サックスプレイヤーとして精進していきます。
サックスプレイヤーとしての成長物語という面白さももちろんあるのですが、心揺さぶられるのは、そこで描かれている「家族愛」であり、「友情」であり、「信頼関係」です。ジャズプレイヤーになりたいと打ち明けたときの父親の反応。バイトしてお金をためて将来サックスを買うんだと聞いたときの兄のとった行動。サックスが吹きたいと相談してきたバスケ部員に対する音楽の先生の対応。感動しながらも、自分もこういう風に振る舞えるだろうかと問いかけると、その難しさが胸に刺さります。
「ジャズ」の話なので「音楽の力」が強く描かれていますが、同じくらい「言葉の力」の強さも描かれています。「世界一のジャズプレイヤーになる」と毎日声に出して気持ちをのせていくところ。それを横で聞いていた友人たちも「こいつは本当にそうなる」と思ってしまうくらいの不思議な説得力があります。大学受験を控えている友人に「お前は大丈夫だから」と声をかけ、上辺ではない魂のこもった言葉に、その友人は力をもらいます。
他人の心を揺さぶり、動かすのは、論理建てた筋書きでも、小手先の技術でもなく、熱く燃える想いとその想いを伝える何か(「音楽」や「言葉」)であることが伝わってきます。
おそらくこの漫画、高校生や大学生のときに読んでも、ここまで感動はしなかっただろうなと思います。もしかすると20代でもしっくりこなかったかもしれません。若いときは夢に向かってまっすぐに突き進むってことが当たり前だと思っているから。読みながら流した涙は、感動の涙ではなくて、無為に失ってしまった人生の時間への後悔の涙なのかもしれないなと思いました。
漫画を読んで感動した方は、コンピレーションアルバムも発売されているのでそちらもおすすめです。
- アーティスト: オムニバス,ハンク・モブレー,ポール・チェンバース,クリフォード・ブラウン,セロニアス・モンク,ソニー・ロリンズ,ディジー・ガレスピー,リー・モーガン,ソニー・クラーク,ドナルド・バード,チャーリー・パーカー
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2013/12/04
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