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You never know what you're gonna get.

叱ってはいけない、ほめてもいけない

褒めて人を伸ばすのは間違いである、という内容のブログ記事(ちょっと前だったので記事URL忘れてしまった)で「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」が紹介されていたので、興味を持って読んでみました。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

最近書店でよくプッシュされているので、目にしたことがある人も多いのでは。
フロイトユングと並ぶ心理学の巨匠アルフレッド・アドラーの思想を、青年と哲人の会話という形でまとめてあります。心理学者の思想を、というとお固い内容のように聞こえますが、会話というスタイルにより、生活の具体事例をおりまぜられていてかなり読みやすかったです。

「俺が本気出せば」とか「XXXしたかったんだけど、とある事情でできなかったんだよねー」とか普段言っている方に特におすすめかも。うちの親父かな。

本書の中から、読むきっかけになった「褒めて人を伸ばすというのは間違い」という部分をひとつ取り上げてみたいと思います。ちょうど子育てもしているし、会社では部下もできて、色々と思うところがあるので。

叱ってはいけない、ほめてもいけない

アドラー心理学では、子育てをはじめとする他者とのコミュニケーション全般について「ほめてはいけない」という立場をとります。


ほめるという行為は「縦の関係」「上下関係」の象徴となります。アドラー心理学はすべての人間関係を「横の関係」とすることを提唱しています。「すべての」というあたりがポイントですね。

ほめるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれています。


いわゆる「上から目線」ってやつですね。褒められているのに、不快な気持ちになるというのは、上から見下すニュアンスがあり、すなわちそこには「縦の関係」が生まれていることになります。

人は、ほめられることによって「自分には能力がない」という信念を形成していく


これは、ちょっと受け入れがたい指摘ではあるのですが、他者からほめられることが目的になっていくと、人は他者の価値観に合わせた生き方を選ぶことになり、それはつまり不幸なことだという指摘です。
褒めて伸ばす方法で育てられたこどもたちが、自分たちの価値観をもたず、常に自分が気にすべき他者の価値観を探していることになります。それはすなわちコントロールする側からすると都合がよい状態かもしれませんが、そのような人生を無意識のうちに選択させられている人は不幸でしかありません。

人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知る。


たとえば「ありがとう」という感謝の言葉が「横の関係」を形成していくことにつながっていきます。
なるほど。卑近な例で申し訳ないですが、いつも家事をやっている奥さんに対して「よくやってるじゃん」みたいな評価のニュアンスが入った言葉をかけるのではなく、純粋に「いつもありがとう」という感謝の気持ちを伝えることの方が重要ということですね。

まとめ

自分自身には「縦の関係」よりも「横の関係」というほうが性格的に合っている気もしました。親子関係、家族の関係はこういうところを意識していけばいいんだろうと思います。一方で、仕事上の関係はどうなのか、というのが気になるところ。この考え方をビジネスの関係にちゃんと展開できるのだろうかというのが目下の興味です。ある程度は、と思いますが、完全にこの考え方で、というわけにはいかないんじゃないだろうか。

たしかに、年長者を敬うことは大切でしょう。会社組織であれば、職責の違いは当然有ります。誰とでも友達付き合いをしなさい、親友のように振る舞いなさい、と言っているのではありません。そうではなく、意識の上で対等であること、そして主張すべきは堂々と主張することが大切なのです。

目上とはなんですか? なにが生意気な意見なのですか? 場の空気を読んで縦の関係に従属することは、自身の責任を回避しようとする、無責任な行為です。

おっしゃることはわかります。わかりますけど...。「勇気をもて」ってことなでしょうね。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え