a box of chocolates

You never know what you're gonna get.

ダークナイトの思い出

今から数年前、「ダークナイト」を見に映画館へ行ったときの話。

上映が終わり、映画の面白さに興奮しつつ、おしっこを我慢していた僕は、男子トイレへ駆け込みました。

女性の方はご存じないかもしれませんが、男子トイレの小専用便器の前には、たいてい注意書きが貼ってあります。その内容は「もう少し前へ」とか「一歩前進」とか、「お前もっと便器に近寄れよ」系の文言が書いてあることが多いです。ということを書こうとググってみたら、NAVERまとめにいいまとめがありました。

女子禁制!男子トイレの哀愁漂う「一歩前へ」画像 - NAVER まとめ

用を足すために便器に近づく。当たり前の行為ですが、年をとると便器との距離は離れていく傾向にあるようです(自分調べ)。そういえば僕も昔に比べると便器からの距離が離れている気がします。

ごくごく稀に、「えっそんな距離からアクロバチックに用を足されるのですか!」とびびってしまうくらい便器から離れているおじいさんを見かけることがあります。

そして、男性のお小水は、その放出する器官の具合によって、まっすぐ前に飛ばないことも多いのです。つまり「便器から距離があり」「器官の具合が悪い」場合は、お小水は便器ではないところへと飛び散ってしまいます。

という前提知識を共有したところで、「ダークナイト」を見た映画館のトイレに話を戻します。

僕が用を足していると、少し遅れてだいぶ年を召されたおじいさんが入ってきました。こんなに年をとった人でもこんなアメコミ映画見に来るんだなーと少し注意を向けていたところ、このおじいさんは僕のふたつとなりの便器へ位置取り、やはり便器からかなり距離を離れたところにスタンスを構えました。
次の瞬間、おじいさんのお小水は、なんと僕の想像をはるかに超え、おじいさんの身体の向きから90度の方向へと放出されはじめました。つまり、僕が立っている方向です。そこには小水を受け止める便器は存在しません。あるのはただ空間のみです。小水は放物線を描き、僕の手前30cmほどのところに被弾し始めました。やばい、やばすぎる。このままではおじいさんの小水が足元に流れてくることになる。

だがしかし、僕の小水もまだ終らない。生理現象はそう簡単にはコントロールできない。

おじいさんはお小水が横に飛んでいることなどつゆ知らず、のんきな顔をしている。いや、気づいていたのかもしれない。気づいていたが、もはや立て直すことなど不可能。ここは気づかぬふりをして乗り切るしかない。そう思っていたのかもしれない。

床の小水はじわじわとこちらへ攻めてくる。あと数センチというところで、僕は用を終え、慌ててトイレをあとにしました。

ダークナイト」、傑作でした。