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You never know what you're gonna get.

インターネットでサービスを提供する難しさ

ドワンゴ会長川上氏がドワンゴの成り立ちやニコニコ動画、ブロマガ、ニコニコ超会議について語った「ルールを変える思考法 (角川EPUB選書)」を読みました。
4gamerに連載されていた「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」が下敷きになっているので、ゲーマー視点の話やゲームそのものの話題も一部あり、ゲーマーの端くれとしてそこはそこで楽しく読みましたが、やはり最も興味をひかれたのは川上氏がどのような視点で経営に取組み、何を考えながらサービスを運営しているのかという点でした。

ルールを変える思考法 (角川EPUB選書)

ユーザー向けにインターネットサービスを提供する会社へと転職して6年が経とうとしていますが、その難しさという点でとても共感できたのが「独自性」の話と「コミュニティ」の話でした。

独自性を持つ、独自性を保つ―――というのは非常に難しいこと

何かサービスを作るとき、類似する他のサービスと違うところ(差別要因)は何なのか、このサービスの独自性はどこにあるのか、ということを常々考えています。この点について、川上さんの考えが面白くて、そんな考えでありなのかと思いつつ、そういうものかなという納得感もありました。

独自性を保つ上では、明快で他社が追随しやすい差別化を行うよりも、何が差別化なのか、ちょっと考えただけでは理解できないものであり続けることが大切だというのが僕の考えです。

ちょっと考えただけでは理解出来ないもの、自分自身でも説明できないものであれば、他社でも差別要因を理解しにくいだろうし、結果として真似されることがないサービスになるという話。感性の世界という風に表現されていましたが、チームでサービスを作ろうというときに、メンバー全員でその感覚を共有できるのかなというのが気になりました。「そのサービスらしさ」みたいなのは、確かに言葉にしてしまうと空気感みたいなものが失われてしまう気がしますが、だからといってメンバーそれぞれの感性だけに委ねてしまうと、それぞれ思っていることがバラバラで、チームとしての力も最大限発揮できない気もします。

「衰退しないコミュニティ」

もうひとつの「コミュニティ」の話。そのサービス上に作られるコミュニティの設計をどうするかという点で、これもまた難しい。

オンラインゲームが流行していたころ、「いかにユーザーを囲い込むか」「いかにユーザーに忠誠心のようなものを持ってもらうか」が各ゲームの運営側のテーマとなっていました。
その一方、「2ちゃんねる」を立ち上げたひろゆきは、インターネットサービスなどでは「人が入れ替わっていくこと」を前提とすべきだと話していました。当時はひろゆきの考え方は斬新なものでしたが、そこを目指していくことには大切な意味があります。

「常連だけの世界」になってしまうのは衰退への第一歩です。

一般的には、一度使い始めたユーザーは、なるべくたくさん、なるべく長くそのサービスを使ってほしいと思います。一方で、いわゆる「常連」が目立ち始めると、新規のユーザーが萎縮したり、新しいユーザーが入ってきにくい空気感を醸成したりするので、難しいところ。そういう新規ユーザーをはねつける常連さんに限って、自分の行動が完全に正しいと思ってることが多いので、また話がややこしくなりがちです。

「衰退しないコミュニティ」をどうつくっていくかということは、難しいテーマです。そのことがインターネットサービスの今後を大きく左右していくことにもなるはずです。

難しいテーマですが、取り組むのにおもしろいテーマですし、自分たちの仕事のやりがいにもつながっている部分じゃないかなと思っています。

まとめ

  • インターネットでサービスを提供し続けるのは難しい、けどおもしろい。