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You never know what you're gonna get.

リーダー、リーダーシップ、マネジャー、コーディネーター

最近、立場上さまざまな採用フローに関わることになったので、その参考にと「採用基準」を読んでみました。
「リーダーシップ」の重要性について、わかりやすく説得力ある言葉で語られていて、採用の参考になるというよりは、自分自身のリーダーシップはどうなんだろうという自問のきっかけになり、意外な効用がありました。

採用基準

マッキンゼーでの17年間のうち12年間をコンサルタントの採用担当として働かれた著者の伊賀泰代さんは、とにかくリーダーシップの重要性を訴えます。
特に成果を出すことが求められるチームにおいては、リーダーだけでなくそれ以外のメンバーもみなそれぞれリーダーシップを発揮することが重要である、と。

リーダーシップの発揮

日本では、リーダーとマネジャーが混同されており、そのことがメンバーもリーダーシップが必要であるという認識の妨げになっていると指摘します。
伊賀さんの指すリーダーは、

リーダーとは和を尊ぶ人ではなく、成果を出してくれる

目標を掲げ、先頭に立って進み、行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語り続ける

という人であり、リーダーシップはそれを達成するために必要な能力のことを指しています。

これまで仕事の上で「これを決めるのは上の人だから」「となりのチームの施策うまくいかなさそうだけど、口を出すのは自分の仕事じゃないな」と思ったりしたことはないでしょうか。そういった態度や思考はリーダーシップがないということになり、たとえ自分の責任範囲外のことであっても、成果につながらないと考えるならば口を挟んでいくのがリーダーシップを発揮するということであり、指摘された側も「担当外のやつが何言ってるんだ」という態度ではなく、指摘された意見を吟味し、成果につながる選択をしていくのもまたリーダーシップの発揮ということになります。

リーダーシップは全員に求められるものです。それぞれの人が自分の周りで、できる範囲のリーダシップをとれば、誰か一人が雑事すべてを担当するような事態には陥りません。

リーダーだけがリーダーシップを発揮するのではなく、メンバー全員がリーダーシップを発揮してこそ、成果につながるということですね。この場合、チームで目指すべき「成果」が明示されており、メンバー全員その達成に対して納得しているということが大切です。

リーダーとマネジャーとコーディネーター

また、リーダーとマネジャーとコーディネーターはまったく異なる役割であるという指摘も、言葉だけ受け取ると当たり前じゃんという風に思いますが、実際に仕事の現場では混同して考えていることが多いように思いました。

「楽しければよい」状況で求められるのが、せいぜいまとめ役や調整役にすぎないのに対し、成果を達成するためには必ずリーダーシップが必要となります。

この言葉は耳が痛いです。現場が楽しい雰囲気であることをつい優先して、成果の達成がおろそかになってしまうというケースは、自分の中で反省することが多いです。そういった文化・社風であるという言葉に甘えることもできなくはないですが、「楽しさ」をキープしつつ成果につながるリーダーシップを発揮していくのが個人的には理想ですね。

さらに混乱しがちな概念がマネジャーとリーダーです。マネジャーは管理者です。求められる業務は、部下の労務管理であり、組織内の個々の仕事の進行管理や品質管理、そして予算管理です。

このふたつの概念が混乱するのは、多くの組織において、

  • 管理職には、管理だけでなくリーダーシップも求められている
  • 管理職以外には、管理はもちろんリーダーシップも求められない

からです。つまり日本では、管理職というポジションとリーダーシップが、結び付けられていしまっているのです。

  • 管理職には、管理が求められている
  • リーダーシップは、管理職かどうかにかかわらずみんなに求められている

が正しいのかな。
とにかく、リーダーシップはみんな発揮しましょうというのが一番の主張です。リーダーシップを発揮しないと、単なる指示待ち人間になってしまう可能性があります。

また日本では、調整役もリーダーと間違われています。何か物事を進める時に、利害関係の異なる人が多数存在する場合があります。そんな時にあちこちで話を聞いてきて、利害を調整するために足して二で割るような解決案を提示し、「あちらもここまで譲ったのだから、こちらも一歩下がりましょう」といった交渉を仲介する人が調整役です。
(中略)
しかし、この人は調整役(コーディネーター)ではあるけれど、リーダーではありません。
(中略)
調整役の人は、無料な摩擦を起こさず、人当たりがよく、面倒見がよい人です。清濁を併せ呑みながら、問題や摩擦を起こさずに事を片付けることに才があります。しかし彼らは、成果を最大化するという目標を、必ずしも尊重してはいないのです。

これもまた耳が痛い。成果を最大化する目標を尊重していないわけではないけど、調整優先じゃんじゃないの?と突っ込まれると、そんなことはないとは返しづらい。多少の問題や摩擦が起きたとしても、成果が最大化するという舵を切れるのかどうかが、僕の今後のキャリアに関わってきそう。

リーダーがなすべき4つのタスク

チームを率いるリーダーが、リーダーとしてなすべきことが4つ挙げられていました。

目標を掲げる

チームが目指すべき成果目標を定義すること。そしてその目標は、メンバーを十分に鼓舞できるものである必要があります。

課長や部長など組織の役職に就いていると、組織上部から目標が与えられることがあります。リーダーシップのある人はこういった場合も、フォロアーを動機づけるため、その目標を自分たちなりの言葉に言い換えます。もしくは、与えられた目標とは別に、より高いゴールを設定することもあります。管理職としては、組織から与えられた業務目標をそのまま部下に伝えれば任務完了かもしれませんが、リーダーにとってはそうではありません。

成果目標の定義ね。単に数値や文言を決めましょうってだけだったら誰でもできるんだけど、メンバーを納得させつつ、かつ鼓舞するような目標を設定する必要があり、これはこれで技術が必要だと思いました。

先頭を走る

「最初の一人になる」、「先頭に立つ」ことを厭わないのがリーダーです。

部下を前に立たせ、後ろでその仕事ぶりを見守っている責任者を、「部下を信頼して仕事を任せ、自律的に育てている」と評価する人がいますが、「何かのときには後ろから神の声が聞こえてきて判断が下される」などという経験を何度かすれば、前にいる部下は常に、後ろにいる責任者の顔色をうかがって仕事をするようになります。

なるほどなー。
とはいえ、全部を自分でやっていくわけにはいかないと思っていて、ある程度任せることも必要ですよね。この例だと、「見守っている」というのが良くないのかな。何かあったときに責任を取りますよ、というスタンスよりも責任も含めてやってね、という形で仕事をやってもらう方がいいのかな。どうだろう。

決める

リーダーとは決める人です。

決めることをできる限り先延ばしし、「情報が足りないから決められない」と言って、とめどなく検討や会議を続ける人がいるのです。こういった人には、リーダーシップはありません。

リーダーの役目は「情報も時間も不十分な中で、決断をすること」なのです。

決めること、そうですね。
情報を集め、議論をすることも必要かもしれないけど、そこにすごく時間をかけるよりも、少ない材料のうちに「決めて」しまって、そこから浮かび上がる問題に対処していくことが必要だと。
何かを決めるときに、みんなで案を出すけれど、最後じゃあどれにしようかってときに、「うーん」って黙りこんじゃうシーンはよくあります。次回に持ち越すにしても、何かを決めてから、そこから浮かび上がる問題があれば次回討議という風にするといいんですかね。

全員がリーダーシップをもっているチームでは、最終的な判断を下すのはオフィシャルなリーダーであったとしても、議論の段階では全メンバーが「自分がその立場であったら」という前提で議論します。

メンバーからの意見の出し方も大事で、ただ単にあーだーこーだ意見を述べるのではなく、もし自分が責任者だったら、これこれこういう理由でこう決めます、というスタンスで発言することがリーダーシップの発揮につながるということですね。

伝える

もうひとつ、リーダーの大切な仕事が、コミュニケーションです。

リーダーのポジションにある人は、何度も繰り返して粘り強く同じことを語り続ける必要があります。

何度も繰り返して同じことを言うのは、体力も精神力も必要だし、何より何度語ってもブレない内容である必要があります。

リーダーシップの学び方

では、リーダーシップを体得するにはどうしたら良いのか。
伊賀さんはマッキンゼーでのやり方をいくつか紹介しています。

バリューを出す

何かしらの成果(付加価値)を生む

ものすごく平易に言うと、会議に出たら何かしら発言しましょうということでしょうか。
何か相談事をもちかけられたときや、横に困っている人がいたときなど、自分に関係のないことだからとスルーするのではなくて、自分が関わったのだから何かしら自分なりの価値を提供しようとする。まずはその意識を持って行くことが大切だと思います。

ポジションをとる

自分の立場をはっきりとさせ、自分の意見を明確に述べる

会議などで発言するとき、自分がどういう立場から発言しているのか意識せず発言していることはないでしょうか。立場をはっきりとさせておかないと、議論の中で論旨がグチャグチャになり、結局何を主張したいのか分からなくなってしまうことになります。

自分の仕事のリーダーは自分

自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネジャーを含めた関係者をどうつかって成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事だ

上司から言われたことをただこなすのではなく、そのタスクの意味や成果を意識して、どうやったら成果が最大化するのを考える。
たしかにねー。同じことをお願いしたとしても、本人の取り組み次第で、そのタスクに対する成果は変わりそう。自分の仕事はここまでで、それ以外は他の人の仕事って線引をしちゃうと、仕事の責任範囲的には正しいのかもしれないけど、成果は最大化されることもないし、結果として全体の成果もいまひとつになるんじゃないかな。

ホワイトボードの前に立つ

ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとるには、会議の参加者が発する意見を全体像の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められます。

これも確かにあるかも。ホワイトボードじゃなくても、みんなが見える画面に映しながら議事録とったりとか、少人数だったら手元の紙に書きながら話を整理するとかね。だれかやってくれるだろうと思って待っていると、そういう人がいる場合はまだいいけど、みんながそういうマインドだったら話が進まないし、せっかくの議論の時間がもったいなくなってしまう。

まとめ

  • リーダーシップ大事
  • リーダーでなくてもリーダーシップ発揮しよう
  • リーダーは「目標を掲げ、先頭に立って進み、行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語り続け」ていこう

採用基準

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