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仕組み化で個人の経験を組織の力に

id:juseiからおすすめシリーズ。今回は無印良品をV字回復させた松井さんが執筆された「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)」。
ざっくり言うと、無印良品で取り組んでいる仕組み化、マニュアル化の解説でした。USJの本もV字回復の本だったし、両方共角川書店だし、自分の中では「V字回復シリーズ」という位置づけになりました。

無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (角川書店単行本)

無印良品には、様々な業務をマニュアル化したMUJIGRAMが存在するそうです。ページ数にして2000ページ超。レジ打ちのような単純作業だけでなく、店頭マネキンのコーディネート方法や商品のネーミング方法など経験やセンスが必要とされそうなものについても網羅されているというから驚き。

2000ページを超えるマニュアルを読んで、それを理解するというのはかなり大変そうですが、そのハードルを乗り越えれば、仕事自体はスムーズに進むのかもしれません。しかも、会社全体がMUJIGRAMを中心に動いていて、現場からMUJIGRAMに対して改善の声をあげることができ、随時アップデートされていくらしいので、社員目線だと自分のアイデアが会社の成長に役に立つという実感に繋がっているのかな。本書は、こういう仕組みを作った経営目線の本ですが、実際に現場の人がどう感じているのかとても興味がわきました。

問題の構造を見つけたら、それを新たな仕組みに置き換える

問題や危機に直面したときは、どうにかすることが難しい「外部要因」ばかりを列挙するのではなく、「内部」に潜む問題の本質に気づき、適切な手をうたないといけないと指摘しています。
根本的な原因を探し当てる手法や思想もきちんと整備していかないと、効果的な反省ができず、同様の問題を繰り返し引き起こす組織になってしまいます。
このあたりの指摘は耳が痛いところで、責任ある立場にある人ほど、根本的な原因の指摘と適切な手をうつ手腕が問われるわけですね。精進しよう。

仕組みを作るメリット

仕組みを作るメリットとして以下の5つが挙げられていました。

  • 経験と知恵が蓄積
    • 個人の経験・知恵が、組織の経験・知恵になる
  • 改善を繰り返し組織が進化
    • 経営が盤石に
  • 社員教育の効率化
    • 背中を見せて教育する文化との決別
  • 理念の統一
    • 社員の行動にぶれがなくなる
  • 仕事の本質を見直せる
    • 業務を前向きに捉えなおせる

逆にいうと、仕組み化を進めるならこれくらいのメリットを達成するくらいの意気込みでないと、なかなかうまくいかなさそう。ただ単にマニュアル化しよう、フォーマットを統一しよう、くらいでは効果は薄いどころか、そういった方針に現場が反発していくと思いました。

行き過ぎたホウ・レン・ソウは人の成長の芽をつんでしまう行為

なるほどと思った指摘のひとつがこれ。
仕事のいろはのひとつとして「ホウ・レン・ソウ」をきっちりしよう、とよく言われますが、行き過ぎると良くないとう指摘です。つまり、常に上司が仕事に絡むことで、部下の自主性や自分自身で創意工夫しようという意欲が失われてしまい、当事者意識、判断力、行動力が失われていくそうです。
僕自身はいわゆる「中間管理職」なので、ホウ・レン・ソウをされる側だし、する側でもありますから、この指摘に納得感がありました。ただ、まったくなくていいというわけではなくて、「適度」にということなので、このあたりの塩梅は難しいですね。

まとめ

  • 問題の本質を見極める力、問題に対して適切な打ち手をみつける力をつけよう
  • 仕組み化にとりくんで、個人の経験や知識を、組織の力につなげよう