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USJをV字回復させたヒットのメソッド

id:juseiから借りたシリーズ。「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」。借りたっていうか「chrisさん、この本好きだと思いますよ」って本を渡してくるんだよなあ。でまた確かに好きな感じの本だったりするので小憎たらしい。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

前半〜中盤はUSJをV字回復させたCMO森岡氏による奮闘記、後半はアイデアを産み出すフレームワークの紹介という構成でした。奮闘記部分は、従業員のマインドを変えたり、新しいアトラクションを導入したり、お金がない状態で集客力があるものを生み出したりと、苦しみながらもホームラン級の施策を打ち続けた物語が大変おもしろいです。読み終わった頃にはUSJに行ってみたくなりました。今年のハロウィンあたり、行ってみようかな(でもきっとめっちゃ混んでる...)。

仕事で役立つ思考のヒントがいくつかありましたが、「イノベーションフレームワーク」と「3万円の川」のふたつをピックアップして紹介します。

イノベーションフレームワーク

この本の売りのひとつなので、詳しく書くのは避けますが、アイデアを出すときの思考法です。
イノベーションフレームワークは「フレームワーク」「リアプライ」「ストック」「コミットメント」という柱からできています。
その中の「フレームワーク」部分もさらに「戦略的フレームワーク」「数学的フレームワーク」「マーケティングフレームワーク」とブレイクダウンできて、本の中では「戦略的フレームワーク」と「数学的フレームワーク」が紹介されていました。

戦略的フレームワーク

「目的」「戦略」「戦術」という段階を踏んで、アイデアを出していくというもの。ただむやみに目的を達成するようなアイデア(戦術)を出していくのではなくて、必要条件(戦略)をきちんと整えてから考えるという話。当たり前といえば当たり前ですが、これが出来てない人は結構多いです(僕もですが)。
目的に対して、いくつか戦略を考えて、さらにその戦術まで考えたところで、その戦術の実現可能性をみて、実際に実施する戦略・戦術を決めるという手順です。
具体例として、「喧嘩をした彼女と仲直りしたい(目的)」に対して、「彼女の好きなものをプレゼントして機嫌をとる」という戦略をたてて、「彼女が好きなブランドのバッグをプレゼントする(戦術)」という具体的なアイデアを出すという流れですね。この例だと、目的から戦術まですぐに導けるじゃんという指摘がありそうですが、「プレゼントで機嫌をとる」という戦略を決めたら、「ひたすら謝罪のメールを送る」とか「仲の良い友達にとりもってもらう」みたいな戦術は考えなくてもよくなって、ひとつの戦略に沿ったアイデア出しに集中できるのがポイントです。

数学的フレームワーク

一方で数学的フレームワークは、考えないといけない対象が100あるとして、そこをどのように正しく分割して絞り込んでいくかという思考の話。
例えば、ユーザーをいくつかの属性に分けて検討するときに、足してちゃんと100になるように考えなさいよということ。ユーザー全体を「子連れのファミリー層」と「女性層」と分けると、「ファミリーでない男性」が抜け落ちるし、ファミリー層の中の「女性」が「女性層」とだぶってしまいます。
正しく「子連れのファミリー層か、それ以外」「男性か女性か」という風に対象を捉えていきましょうということですね。例だけ見ると簡単じゃんって思いますが、実践でちゃんとやろうと思うと、意外とできてなかったりします。

3万円の川

USJのライバルといったら、東京ディズニーランド。30周年を迎えてもなお衰えることを知らないお化けテーマパークです。かつてのUSJの人たちはこう考えていたそうです。「映画だけにこだわらないと、東京ディズニーブランドと差別化できなくなるので集客できなくなる」と。ユニバーサル・スタジオの出自がもともと映画スタジオですから、自然な発想といえばそうなのかもしれません。ただ、「映画だけにこだわる」ことは戦略上の大きなミスであると森岡氏は指摘します。
東京と大阪の間には「交通費3万円の川」が流れており、集客的には分断されている。そういう状況の中で、関西マーケットに対して「映画だけ」というニッチ戦略を取るのは間違っている、と。
いちユーザーとして、確かにと思いました。僕は割りと映画が好きな方ですが、1日かけてテーマパークにいくなら、映画の世界にどっぷりつかるというよりもエンターテインメントとして楽しめる方が良いと思います。特にこどもができてからはそう思うようになりました。こどもはそもそもの元ネタの映画を知らないことが多いので。

この「3万円の川」は、色んなところに応用できるなと思います。昔からよく言われることですが、日本のWebサービス(特にテキストを扱うものについては)「言語の川」が流れていて、海外ですでに大きなマーケットがあっても日本国内では同様のサービスで戦うことは可能だったりします。法律が関わったり、実際に物品がうごいたりする系のサービスもそうですね。タイムマシン戦略とか昔は言われていましたが、海外でヒットしているサービスの内容を見極めて、ヒットする要素をうまく抽出して、川のこちら側の都合に合わせてアレンジしてサービスを提供する、みたいなのはよくありますし、やり方としては悪くないですね。そもそも狙って行ってもなかなかヒットするのは難しいですしね。一方で、言語や法律、文化に密接に関係しないもの(例えばInstagramのような写真共有)は、その川がないか、あっても小さいので簡単に乗り越えて行き来できちゃいますね。

自分たちが取り組もうとしているものに競合はあるのか、そしてその競合との間には何らかの川が流れているのかを正しく見極めることで、ニッチな戦略を取るべきか王道の戦略を取るべきか決めていきましょう。

USJへの印象

仕事のヒントになるような話はこのくらいにして、最後に本を読んでいて感じた僕自身のUSJへの印象の変化について書きます。

USJがオープンした2001年、ちょうど大阪で大学院生やってました。そのとき家庭教師をしていた先のお父さんがUSJのスポンサーの会社に勤めていて、プレオープンのチケットをいただき、彼女(今の奥さん)と一緒に行きました。

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大阪に大きなテーマパークができるということで結構テンション高めで行って、実際かなり楽しかったのを覚えています。ウォーターワールドのショーでびしょ濡れになったり、パーク内を歩くキャストの人と一緒に盛り上がったり。特に、今はなくなってしまった「E.T.」のアトラクションが良くて、「これはすごい!!」と感動して帰りました。

2回目に行ったのは、その翌年。大学の卒業のときに研究室の仲間と行きました。プレオープンで行ったときの楽しい記憶があったんでしょうね。冬の寒い時期で、濡れる系のアトラクションが大変だったのと、風が強くてやたら寒かったのを覚えています。男ばっかり8名くらいでわらわらと行きましたが、絶叫系のアトラクションではっちゃけたり、途中ビール飲んだりと、彼女連れのときとはまた違う楽しみ方ができたと思います。

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その後、東京に就職して、関西を離れてからはすっかり疎遠になってしまいました。
時は経ち、結婚して子供が産まれ、はてなに転職して関西に戻ってきてから家族連れで行ったのが最後です。
2009年だったのでV字回復前ということになりますね。

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本書を読んでいると、USJに対するイメージとして、そうそうと思わず頷いてしまうことがいくつもありました。
「小さな子供連れにやさしくない」とか「スヌーピーやキティなどのキャラクターが出てきて迷走している」とか。

子供連れにやさしくないパークという印象は、まさしく最後に僕ら家族が行った時がそういう感じでした。4歳児と1歳児連れて行きましたが、みんなで楽しめるアトラクションが少なくて、ちょっと持て余したのを覚えています。

映画に関係ないキャラクターが登場して迷走しているというのも、実際にパーク内で見たわけではないですが、外から聞いていてそれどうなんって思いました。正直に言うと、ワンピースとかのショーもやってますと言葉だけで聞いたときは、迷走極まってるななんて思っちゃったんですが、最近はTVCMの効果なのか、結構ありなんだなと思っています。

その後、ゾンビナイトとかバイオハザードのアトラクションとかのCMを見て、ホラー的な要素も盛り込まれていて、お、ちょっとおもしろそうと興味をひかれたのも確か。森岡氏が分析するUSJの弱点とそれに対する打ち手、そして予想される市場の反応通りに素直に反応してしまう僕がいたのでした。

まとめ

読んでいるととにかくUSJがめっちゃ楽しそうで行きたくなるので、今年のハロウィンあたりに照準を合わせて行ってみようかなと思いました。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R) | USJ